こんにちは、小夏です。今着ている赤いパーカーなんだけど、もう二週間ぐらい来てる。臭くはなっていないけど、そろそろお洗濯だよね。おとうさんもそう思ったみたいで、パーカーをしげしげと眺めながら、手で撫でてる。「なんかこのパーカー急にボロになった・・・。もう捨てないとダメかな」と言う。え、洗濯じゃなくて捨てちゃうの？
フード部分が特にボロになってる。年代物だからね。でも、着るようになったのは去年くらいだから、それほど出動回数はなかったと思うんだけどなぁ。その割に、言われてみると、だいぶ表面がボロになっちゃってる。
「小夏があんまりソファーの下に潜り込むから、こすれてボロになっちゃったんだよ」。うん、だけど数日くらいでこんなに一気にくるかしら。やっぱり着ていなくても、繊維は経年劣化してたんじゃないのかな。
今使ってるこの胴輪のせいかも。丸い輪を頭からかぶるタイプなんだけど、かぶるときにだいぶ擦れるせいかも。かぶったあとにフードを引っ張り出すときに特に擦れる。なんかそのせいかも。
そうかぁ、捨てられちゃうのか、このパーカー。「同じパーカーの色違いで、僕のが残ってるはずだから、それで我慢したら？」と鼓太郎。そうなんです。このパーカーは鼓太郎とお揃いで買ってもらったんです。
お散歩のときにお揃いのペアルックだとさぞや注目の的だとお父さん思ったらしい。パーカーが届いたときに早速試着。鼓太郎は少し嫌がって抵抗してたけど、着てみるとうんなかなか似合ってた。「モデルが良いからねぇ」と得意げに言ってる。
続いてあたしも試着、しようとしたんだけど、「あれ、なんかキツイぞ。サイズ間違えたかな？」うーん、体の締め付け感がハンパない。胴の途中で服が止まってるし・・・。どうにか着ました。
でも、なんかぱんぱん。はちきれそう・・・。あたしの着た姿をみたおとうさん、しばらく固まってたけど、・・・なんも言わずにあたしのパーカーを脱がせる。そのあと、ぽそっと「なんかへん・・・」と一言。以来、この赤いパーカーは物入の中で長いこと眠ってた。
あたしと鼓太郎のペアルックでお散歩して人気者というおとうさんの目論見は崩れた・・・。着せて散歩に行くと、笑われるだけと思ったみたいです。たぶん、それが正解だったよね。だから、このパーカーを着た鼓太郎と一緒の写真はないらしい。
そんな想い出のあるパーカーだけど、これだけ痛んだら仕方ないね。北海道に来てからはずいぶんとお世話になったからね。じゃあ、鼓太郎のパーカーを借りましょうか。
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