小夏から最後の手紙、そして虹の橋アナザーストーリー

こんにちは、空の上の小夏です。16日金曜日の朝、身体がふわっと浮き上がって、翌日の斎場へ行くまでお家の中や車の中をぷかぷか彷徨ってた。でも、斎場の煙突から煙が昇り始めたら、どんどん空高く身体が浮き上がっていきました。おとうさんおかあさんにしがみ付こうとしたんだけど、上手く行かずどんどん浮き上がっちゃった。これで本当にお別れになんだ。


身体が浮き上がり始めた時から、鼓太郎があたしのそばにぴったり寄り添ってくれていた。二、三日前からお家に帰って来てるのは知ってたけど、鼓太郎が声かけてくれないし、なんかコソコソ隠れているような感じだったので、あたしも声はかけなかった。三角耳やぐるぐるシッポが時々見えてたんだけどね。

インデックス
虹の橋のふもとに到着
あたしは雨降り地区なの?
鼓太郎に悪いことしちゃった
虹の橋アナザーストーリー
あたしのことを気にかけてくれてた皆さんへ

おとうさんに続き、あたしも長々と書いてしまいました。これが最後かなと思うと、あれもこれもと欲が出て長くなっちゃった。あたしがブログ記事を書く機会はもうないのかなぁ。

虹の橋のふもとに到着

身体が浮き上がり始めてから、鼓太郎がずっと先導してくれ、虹の橋のたもとに到着です。迷子にならずにまっすぐに来れました。たどり着くまで、何度も振り返ったんだけど、おとうさん、おかあさんの姿はどんどん小さくなって、そして見えなくなった・・・。

到着したら、鼓太郎が「小夏、こっちこっち」と雲の隙間を指し示すので覗きに行くと、おとうさんとおかあさんがお家でぼうっと座っているのが見えた。時々、きょろきょろと何だか挙動不審。「小夏のことを探してるんだよ」と鼓太郎。あたしはここだよー。すぐ近くに見えるのに、あたしはそこに行けないんだね。

いや、そんなことはないはず。鼓太郎は頻繁にお家にやってきてたから、あたしも行けるはず。「鼓太郎、あたしお家に帰るよ、おとうさんとおかあさんがあたしのこと探して呼んでる」と言うと、鼓太郎はちょっと困った顔して、「今は無理だよ、帰れないんだよ。今年のお盆、小夏の誕生日まではお家に帰れないよ」。

そうなんだ。いつでも好き勝手に行き来できると思ってた。好き勝手に行き来しているように見えた鼓太郎も、考えてみれば、何かしらの理由のある時だけ帰って来てたんだ。帰ってくる前後にだいぶズルしている期間はあったような気はするけど。

「小夏、ぷかぷか浮いてないで、地面に降りといでよ。少し一緒に歩こう」。うん、でもね、あたし、ずっと寝たきりで、支えてもらわないと一歩も歩けないんだけど・・・。「大丈夫、もうだいぶ前の若い時の姿に戻ってるよ」。そうなのか?確かに自分の手足を見ると、なくなってしまってた筋肉が戻っている。脂肪も一緒に戻ってしまってるようなのが、ちょっと不満です。でも、うん、歩ける。地上の地面とは違うけど、自分の肉球で地面を踏みしめて、歩けています。

ここが虹の橋のたもとなんだね。これから、ここでおとうさんとおかあさんがやって来るのを待つんだね。そしてやってきたら一緒に橋を渡って天国に行くんだね。おとうさんは比較的早くやって来そうだけど、おかあさんはずっと先なんだろうな。

あたしは雨降り地区なの?

「えっと、小夏は暫くこっちに居ることになるかもしれないよ」と、鼓太郎があたしを別の場所に連れて行く。なんか雨が降っててどんより。「雨降り地区って言うんだけど、おとうさんやおかあさんが、小夏の事を思い出して泣いてる間は、ここにいないと駄目なんだ」。えー、なんか嫌だなぁ。

おかあさんは気持ちの切り替え早そうだけど、おとうさんはダメっぽい。鼓太郎がいなくなった時も、ながながと駄目だった。なんか鼓太郎のこと考えてぼうっとしていることが多かったから、あたしが近づいて、顔をぺろんと舐めて慰めてあげてた。

今度は、そうやって慰めるあたしがいないから、長引きそう・・・。あたしのことは忘れちゃダメだけど、何時までも悲しまないでね。あたしは、鼓太郎と一緒に橋のたもとでちゃんと待ってるからね。

意外にたくさんのワンが雨降り地区にいます。一緒に暮らしたおとうさんおかあさん、パートナー、飼い主さんが別れを悲しんでいるみたいです。じめじめした場所で、あまり長居はしたくない場所だけど、言葉を返せばそれだけ愛されて悲しんでくれる人が居るということ。

でも別れたことを哀しみ続けるんじゃなくて、顔を上げて前を見て生きてほしいから、雨降り地区に余り長居はしないほうが良い。ワンにとっても、おとうさんおかあさんにとっても。

あたしのおとうさんおかあさんも、ペットロスとかにならないでね。鼓太郎と一緒に時々は帰省するからね。

鼓太郎に悪いことしちゃった

今日は6月20日。年に一回しかない鼓太郎の地上誕生日です。本当はこの日に合わせて鼓太郎はお家に帰ってきてゆっくりするはずだったのに、あたしがそれをダメにしちゃった。あたしをここに連れてくることをおとうさんに頼まれて、今年の地上誕生日をお家で過ごすことを諦めちゃったみたい。

あたしも5月の後半から、自分の調子が怪しくなっていることを感じて気になってたんだけど、最悪のタイミングになっちゃいました。本当は、16日じゃなくて、その一週間前に舌が真っ白になって飛び出したときもうダメだったみたいだけど、そこでなんとか持ちこたえた。なんとか持ちこたえたので、さらにあと一週間はどうにかしなきゃ、頑張らなきゃと思ってた。

お家に帰ってきた鼓太郎が、お空の上に戻る時に一緒に連れてきてもらおうと、あと一週間はと思ってたんだけど、叶いませんでした。願いはなかなか叶わないね。結果的に、鼓太郎に悪いことしちゃった。お家大好きで、頻繁に帰ってきている鼓太郎だけど、地上誕生日はやっぱり特別な日だからね。

これは鼓太郎です。お散歩の催促中みたい。

「気にしなくていいよ。誕生日はもちろん大事だけど、僕はおとうさんとおかあさんと初めて出会いお家にやって来た8月13日が一番大事だから」。ちょうどお盆の時期だし、あたしの地上誕生日8月8日だから、一緒に帰ってみんな勢ぞろいでお家で過ごそう。

虹の橋アナザーストーリー

「虹の橋は、おとうさんとおかあさんが来るまでずうっと待っているというのがよく語られているお話だけど、あまり語られていないもう一つのお話があるんだよ。前にも言ったかもしれないけど」と鼓太郎。

鼓太郎が語ってくれた虹の橋のもう一つのお話、アナザーストーリーはこんな感じ。

虹の橋のたもとで、ワンたちは一緒に暮らしていたおとうさんおかあさんを待ちながら毎日楽しく暮らしています。

でも、ちょっと不思議に思いませんか?

残念ながら地上で暮らしている間、一緒に添い遂げるおとうさんおかあさん、パートナーに出会うことなく寂しく空の上に来てしまったワンもいます。

そういう子は、虹の橋のたもとに来れない?いえ、地上で寂しかった子も、虹の橋のたもとにはいます。今はみんなたくさんの友達と遊びまわっていますが、少し違うのは、その子たちは何時までも待っても一緒に虹の橋を渡る相手がやって来ないことです。

ここで友達になった子が、ある日、おとうさんおかあさんと一緒に虹の橋をわたって居なくなり、その子はまた寂しい思いをしてしまいます。自分は、ここでも独りぼっちなの?そして、ずっとここに居なきゃ駄目なの?何の心配もない生活を送っていても、それはやっぱり寂しいことです。

でも、そんな悲しいお話は虹の橋にはありません。

ずっと独りぼっちだったその子が、地上で暮らした時間と同じだけの時間をここで過ごした日、その子の目の前に光の階段が現れます。空のもっと高いところを目指す階段ではありません。空の上から地上に続く光の階段です。

その子はこわごわながら階段を一歩ずつおり始めます。長い長い階段です。でも、不思議なことに一歩降りるごとに、寂しかった地上での暮らしの記憶が薄れていきます。体も小さく、いえどんどん若返って子供に戻っていきます。

そうです、階段を下りながら、地上でもう一度暮らし直す生まれ変わりの機会がもらえるんです。今度こそ、ずっと一緒に暮らせるおとうさんおかあさんと出会えるように。

ゆっくりゆっくり降りていた階段を段々駆け足で降りて行きながら、空の上からもうその姿は見えなくなります。生まれ変わった瞬間なのです。

今まで寂しい思いをした分、今度こそ取り戻すように幸せな時間を過ごしていくに違いありません。

なるほど、そうなんだね。虹の橋のお話を聞いたとき、でもワンによってはなんか救いがないような気がしたけど、これだとみんな幸せになれるね。地上で独りぼっちじゃなくても、おとうさんおかあさんが若いと、待てど暮らせどやって来ないで疲れちゃう子もこの生まれ変わりの権利がもらえるのかな。

あたしがベッドの上、鼓太郎は床の上で寝るのがわが家の基本フォーメーションでした。

どのワンにも同じ権利がもらえるの?あたしも貰えるのかな?でも、あたしの場合、ここでこれから18年10ヶ月待ち続けないと駄目なのか・・・。鼓太郎だって、しょっちゅうお家に帰ってここで過ごした時間はあんまり経過していないよね。きっとまだ10年以上は必要だよね。

あたしも鼓太郎もきっと生まれ変わることは選ばないと思う。地上で暮らした大事な記憶が消えるのは寂しい。それだけ大切な思い出だからね。何よりも10年もすれば、おとうさんがやって来そうだし・・・。もちろん、長生きしてほしいけど、なんとなく来そうな気がしてます。だから、あたしと鼓太郎は、たとえ権利がもらえる時になっても、ここでずっと待ち続けます。

あたしのことを気にかけてくれてた皆さんへ

あたしのことを気にかけて、ブログを覗いてくれた皆さん、暖かいコメントをくれた皆さん、ありがとうございました。この一年くらいは、いつも寝てばかりで体調がどうのこうのという老犬介護ブログになってたけど、それでも気にかけて応援してくれてありがとうございました。

あたしの地上での暮らしは終わっちゃったけど、きっと予定より、本当の天寿よりもだいぶ長く時間を送れたと思ってます。皆さんの応援が、あたしの命を伸ばしてくれたと思ってます。心から感謝です。

時々、「ああ、そういえば、こんな柴犬いたよね」って思い出してもらえるともっと嬉しいな。

それじゃあ、ばいばいです。さんきゅ。皆さんも元気に楽しい日々を送ってね。

 

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“小夏から最後の手紙、そして虹の橋アナザーストーリー” への2件の返信

  1. こんばんは。
    鼓太郎君と小夏ちゃん、お父さんとお母さんのお互いを想いやる日記が本当に大好きでした。私にも柴犬の10才と9才になるかけがえのない家族がいます。鼓太郎君、小夏ちゃんがお父さんとお母さんを想うように、うちの子にも、そう想ってもらえるように、一緒の時間を、大切に過ごします。本当にありがとうございます。

  2. 小夏ちゃん、ありがとう。
    この2月にうちの娘も虹の橋に向かいました。送り出したは良いけれど、ちゃんとついたのかな?おとなしい子だから仲間に入れてもらえたのかな?と寂しさと心配の毎日を過ごしていました。小夏ちゃんと鼓太郎君が虹の橋の事をお手紙で教えてくれたおかげで安心できました。
    小夏ちゃんのお父さんお母さん、手厚く温かなお世話お疲れ様でした。
    子供たちの旅立ちは辛いですが
    旅立った子供達のためにも笑顔でいてくださいね。 
    でも今はお心のままに、ご無理なさらずお過ごしくださいませ。

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