小夏の病歴 腫瘍摘出の手術

小夏2005年5月頃 手術から2ヶ月後くらい。それにしても、昔はスマートだった。

コクシジウム、腎不全(疑惑)を克服し、元気に成長し始めた小夏ですが、またまた・・・。それは、生後8ヶ月頃のこと。家内が、小夏と遊びながら顔をわしゃわしゃしていた時に、「ん?」と首を傾げます。首を傾げられると、いろいろ前例を作って来た小夏なのでふと不安になります。今度は、何だ?

「小夏の顔に、ぽちっと出来物がある。おできみたいだけど、これ大丈夫かな」
「年頃になって、ニキビでも出来たんじゃないのか?」と、とんちんかんな返事をする私。しかし、犬にニキビとは聞いた事がありません。
「うーん、気が進まないけど、病院で見てもらうか?」。世紀の大誤診、腎不全の診断を下した病院以外、その当時に通っている病院はありませんでした。定期的なフィラリアの薬をもらうのと狂犬病注射くらいしか用事がなかったので、とりあえず他の動物病院を探すことをさぼってました。

あの病院で良いのかな?一抹の不安は、なくはなかったのですが・・・。


家内も少し考えてしまったようで、一週間ほど様子を見ていました。それでも、おできはなくならないし、気のせいか少し大きくなったようにも感じたようで、「やっぱり、明日、病院で診てもらう」と。

その結果、顔面に出来た腫瘍とのこと。左目と口元の間あたりです。おできイコール腫瘍なので、ここまでは私でもわかります。詳しくは、細胞を病理検査に出してみないことには、なんとも言えないが、良性かもしれないが悪性腫瘍(ガンの類)も否定できないとのことでした。細胞の一部を取り出すのは、細胞を壊してしまい、悪性だった場合には他の所へ転移する可能性があるので、できている腫瘍を全て摘出して、それを検査に出すことになるそうです。このため、全身麻酔の手術になるとのことでした。

部分麻酔で簡単に切るだけかと思っていた私ですが、全身麻酔となると、やっぱり怖いです。だいぶ成長したとは言え、まだ生後8ヶ月の体なので、ちゃんと耐えられるのだろうか。しかし、万が一にも悪性だったら・・・。素人には判断できず、悶々と悩みこんでしまいました。

考え込んでしまった私を見て、家内が、「手術してもらおうよ?何も問題なければ良いけど、万が一、悪性だったら、後から後悔するし、小夏にも申し訳ないじゃない。確かに全身麻酔は怖いけど、逆に何年かして年取ってから、手術になった時、もっと全身麻酔は怖いんじゃない?」

確かに、そうです。

かくして小夏は、腫瘍摘出の手術を受けることになりました。私が仕事のある日に手術日が決まりました。手術の後は一晩くらい入院になるとのことでした。手術の日の朝、私が仕事に行くときに見送りにやって来た小夏の頭を撫でて、「一緒についていてあげられないけど、がんばれよ。明日は、迎えにいくからね」と言うしかありませんでした。何も知らない小夏は、私の手にじゃれながら、いつも通り「いってらっしゃい」と元気に見送ってくれました。

しかし、顔面にメスが入るということは、当然に顔に傷跡が残ってしまう・・・。
これ以上、器量が悪くなったらどうしよう?お嫁に行けなくなってしまう。
いやいや、小夏は鼓太郎の所にお嫁に来たのだから(お互い嫌っていたみたいですが)、ずっとわが家にいるわけで問題ないか。私にしても、家内にしても、小夏に傷跡が残っても変わらず可愛がるから問題なしか。などと、通勤電車の中で、いろいろ考えてしまいます。仕事もいつもよりも早く定時で切り上げて、そそくさと家に戻ります。

お出迎えは鼓太郎だけ。そうだよね、今晩は入院だった。わが家に迎え入れてから初めて外に泊まるんだ。寂しくて鳴いてないか、それともまだ麻酔が効いててぼうっとしているのか、はたまた麻酔が切れて痛がってないか、と家に帰って来てからも色々と考えてしまいます。
家内に聞くと、「ずっと付いていてあげたかったけど、どれくらい時間かかるかわからないので、手術終わったら電話くれるって言うから、帰ってきた。さっき、無事終わったって電話あったよ。まだ麻酔がきいてて寝てるらしいけど、とりあえず元気で大丈夫だって」。

とりあえず大丈夫そうです、とりあえず意識は戻りつつある。そして腫瘍を上手く摘出できても、その後の検査結果次第です。それでも、無事に手術が終わったとのことで、少し肩の力が抜けたような気がしました。
半分だけの安心ですが、それでも朝に比べればましでした。

翌日は土曜日だったので、家内と一緒にお迎えです。鼓太郎は、病院で邪魔しそう(暴れる)なので、お家に残して留守番です。

病院へつくと、看護師さんが「ちょっとお待ちください。連れてきますねー」と明るい声で言います。うん、看護師さんがこんなに明るい声なら、小夏に異常はない、よかったと勝手に思いこみます。

看護師さんに抱っこされてきた小夏は、ちょっと怒ったような顔していましたが、私と家内を見つけて、嬉しそうな顔に変わります。夜の間、病院の中は無人になるので、寂しかったようです。
先生が診察台の上に小夏を乗せて、説明してくれます。「院長が執刀しました。おできの細胞はきれいにとれました、病理検査に出してありますので、結果がわかるまで2,3週間ほどかかります。結果が来たらご連絡しますので、来院してください」。
説明をしてくれたのは院長じゃなくて、女医さん。この、女医さん腎不全の誤診したんだけど、大丈夫かしら・・・。
院長が執刀したということは、この病院得意の上乗せ料金になってるんだろうな、と詰まらないことを私は考えてました。

黙ってる私の手を小夏が一生懸命にぺろぺろと舐めます。痛かったよ、寂しかったよ、と抗議するかのように。


小夏の顔を見ると、傷口を縫ったあとがあります。大きくはないけど、はっきりと手術跡とわかります。「一週間くらいで抜糸できますので、来週の土曜日にまた来てください。院長が、女の子なので出来るだけ傷が残らないように小さく切ったと言ってました。幸い根も張ってなかったようです」。
ありがとうございます、でも、それなりに傷口は大きいと思うのは贅沢な話でしょうか。
「包帯しても良いんですけど、小夏ちゃんは、嫌がって暴れるので・・・。お家では引っ掻かせないように注意してください。消毒薬とお薬もお出ししておきます」。

抱っこで家まで帰ろうと思ってましたが、外に出ると小夏が歩きたがったので、そっと地面に降ろします。
暫し地面の匂いを嗅ぎ、肉球で地面の感触を確認し、小夏は家の方へ向かって歩き出します。家がどっちにあるかはわかってるんです。
家に到着すると鼓太郎が出迎えてくれます。小夏の尻の匂いを嗅いで、小夏であることを確認。続いて、小夏の顔の傷跡の匂いを嗅いでます。傷を舐めようとするので、ちょっと引き離します。鼓太郎は残念そうにしてましたが、それでも小夏が帰ってきたのが嬉しそうに見えたのは、私の勝手な思い込みなんでしょうか。

翌週、抜糸をしてもらいましたが、傷跡はしっかり残ってました。毛がちゃんとこの部分に生えて、目立たなくなることを祈るばかりです。小夏自身は、傷口が痒いようで、手で掻こうとします。狼爪で引っ掻くと血が出てしまいそうなので、暫くは注意を払うしかありません。私たちの目が届かない時には、エリザベスカーラーで手が届かないようにします。

傷跡の拡大写真。目元と口元の間に手術の傷跡があります。なかなか消えない傷跡に気をもんでいました。手術から二ヶ月近く経過して、毛は生え揃ってきましたが、どうしてもひっつたように傷が見えます。

そしてまた翌週。病理検査の結果がでたとのことで、また私と家内で病院へ向かいます。小夏と鼓太郎は、一緒に留守番です。

結果は良性

検査結果表に、いろいろと書いてありましたが、難しいことはわからないので、とりあえず良性で、他の所へ転移するような類ではないということだけを記憶しました。検査結果表は、用なしとばかりに、すぐ捨ててしまったような気がします。

手術の傷跡は、それから一年くらい、小夏の左目の下に残ってました。それでも、換毛のたびにだんだんとその痕跡は見えなくなっていき二年もすると殆どわからなくなりました。ただ、十年以上経った今でも、その傷跡のあったあたりを触ると、ほんの少しだけ、ひきつったような部分を指先に感じます。目視はできません。小夏も、理由は覚えてないと思いますが、たまにその部分を手で掻いたり、床にこすりつけたりします。古傷は痛みはしないけど、痒いのかもしれません。

小夏2005年5月頃 手術の後もイジケルことなく、傷跡を気にすることなく元気に笑顔。

手術が必要だったのかは、今もよくわかりません。1ミリくらいの小さなおでき。家内が見逃していたら、おそらくずっと気付かなかったはずです。私が発見しても、こんなもの何でもないと簡単に決めつけていたかもしれません。
でも、犬は自分でどどうしたい、どうしてほしいとは言えません。その代りに飼い主さんが、替わりに見つけて、ベストだと思うことをしてあげる。
一緒に暮らすことを決めた飼い主さんの役目です。

 


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