犬に限らず、もともと群れで暮らしてきた種の動物は、自分と他のメンバーとの序列というものを意識して行動すると言われています。序列とは、犬同士の上下関係、力関係などのいわゆるヒエラルキーです。犬と一緒に暮らし始めるときは、躾の意味からも、人間が序列上位にならないと駄目だとも言われてます。その一方で、犬は序列付けなどしないという意見もあります。わが家の二柴の序列について考えてみました。
記事内インデックス
わが家の鼓太郎と小夏の初期の序列
わが家の序列が変化した時
一頭飼育でも、一緒に暮らす人間との序列は存在しているようです。二頭でも、一緒に暮らす人間を含め、群れと言う規模ではありませんが、犬はこうした序列を決めて生活しています。
わが家の鼓太郎と小夏の初期の序列
わが家の鼓太郎と小夏は4才違い。鼓太郎が4才と3ケ月の日に、生後50日ほどの小夏を迎えました。この頃の鼓太郎は、一番元気な時期というよりも凶暴と言う言葉を使っても良いくらい、私たちも手を焼く暴れん坊でした。そんな若犬だったので、小夏との年齢差、力の差、体格の差も明確。序列など気にする必要もありません。むしろ鼓太郎が小夏をいじめないかを心配していました。
しかし私たちには反抗的に、時に歯をむくこともあった鼓太郎ですが、何故か小夏をいじめるような素振りはありません。小夏との圧倒的な差を自分で認識しているのか、自然な上下関係が出来て、むしろ粗暴な部分が徐々に消えていきます。
小夏が来るまで、わが家の中で最下位序列に置かれることに不満だったのが、自分より下に小夏がやってきて落ち着いたのかもしれません。ボスになりたいという願望よりも、鼓太郎は序列最下位がきっと嫌だったのかもしれません。
その後も、鼓太郎が小夏に対して自分の力を誇示することはありませんでした。小夏が子犬時代にあまりにしつこくまとわりつくときだけ、がうっと威嚇することはありましたが、追いかけまわすようなことは小夏が成犬になっても最後までありませんでした。
これは序列の問題だけでなく、鼓太郎の固有の性格だったと思っています。生涯を通じてみても、数年の間を除けば、鼓太郎はむしろ性格は穏やか、臆病な柴犬だったと今になれば思っています。
一方、小夏はと言えば、外面は良いものの、もともとの性格はかなりキツメで、自分が世界の中心にいるとでもいると言いたげ。子供の時も力では到底かなわないので最下位序列に甘んじてるけど今に見ておれとばかりに、時々、反乱を起こしていました。
小夏が反乱を起こすと、やれやれとばかりに鼓太郎が出ていき、ガウッと一喝。慌ててソファーの下に逃げ込む小夏。鼓太郎はもうソファーの下に入れない体格になっていたので、小夏は安全地帯を確保しながら反乱を起こしていたみたいです。ソファーの下に逃げ込みながらも、歯をむいて顔にしわ寄せながら鼓太郎に吠え続けます。
そんな小夏を鼓太郎はしばらくじっと眺め、そして、あほらしいとばかりに踵を返して立ち去ります。序列関係を小夏に明確にすり込もうという示威的な行動はしませんでした。
そんな鼓太郎だったので、小夏は、いつの日か、序列最下位から脱出を図ろうと執念深く企んでいたみたいです。
わが家の序列が変化した時
小夏がやって来た頃の鼓太郎との圧倒的な力差、体格差も、小夏の成長と鼓太郎のシニア犬期入る老化の始まりと共に、だんだんと差が薄れていきます。
そして鼓太郎が9才、小夏が5才頃のある日のこと。
オヤツ好き(というよりもほぼ主食)の鼓太郎に、「じゃあ、オヤツ食べようか?」と話しかけます。ぱあっといつも無表情なくせに、この時ばかりは笑顔になります。鼓太郎は、オヤツという言葉を理解していました。
嬉しそうな顔で、そして神妙な顔して私の前にお座りします。かたや小夏は言葉の意味は理解していないものの、鼓太郎の動きを見て、なに?なに?と駆け寄ってきます。そしてお座りしている鼓太郎を見て、その横にお座りします。小夏は、ほとんどコマンドを覚えなかったので、いつも鼓太郎の動作をまねしていました。この時も、なんだかわからず、それでも鼓太郎の真似をしたというところです。
お座りした二柴。真剣に私(ではなく、私の手にあるオヤツ)を見る二柴。懐かしくも今では見れない風景。
並んでいる二柴の目の前にオヤツを見せびらかし、そして「マテ」。少しじれて前足で足踏みしながらもじっと待つ鼓太郎。あまりじらすのも可哀そう。二柴の序列を考えて、まずは鼓太郎に「ヨシ」と声をかけて鼓太郎の鼻先にオヤツを出します。小夏は鼓太郎の後にあげないと序列がおかしくなる。
しかしその時、事件が起きてしまいました・・・。
嬉しそうにオヤツを口に入れた鼓太郎。そこへ、あろうことか小夏が、オヤツが収まった鼓太郎のマズルにがっつり咬み付いてしまいました。マズルは犬にとって急所の一つ。大きな悲鳴を上げる鼓太郎。咬み付いたまま、放そうとしない小夏。慌てて、小夏に咬まれるのを覚悟しながら引きはがします。
小夏を本気で叩いて怒ります。本気で叩いたのは、この時が最初で最後です。叩かれても、興奮がさめぬのか反抗的にふぅーふぅーいってます。
小夏は放っておき鼓太郎の様子をみます。マズル、ちょうど鼻っ面のあたりから出血しています。とりあえず止血と消毒。その間に、鼓太郎はガクガクと震え始めます。悲しそうな顔で小刻みに震えてる鼓太郎を抱っこし、血が止まるのを待ちます。
鼓太郎の震えが収まるのに小一時間。出血してた部分をみると血は止まってました。が、穴が開いてました・・・。犬歯が入った跡です。この傷は、年をとっても良く見ればわかる、生涯残ってしまった傷です。
この時から、鼓太郎と小夏の序列は逆転してしまったようです。
鼓太郎は、それまでも上位にいることを誇示するようなことがなかったのですが、その時から、何か一歩引いたような立ち位置や小夏に遠慮するような素振りをみせるのが哀しく感じました。
私も家内も何とか元の関係の戻そうと、何事も鼓太郎を優先させようとしますが、そこへ小夏が近づいてくると鼓太郎が自分で引いてしまいました。
一軒の家に暮らす二柴なので、序列なんか必要なく、同じように幸せに暮らせばいいのにと思っていました。でも、ワン達も意識しない、DNAなのかもしれません。野生の時代は、必要だった特性かもしれませんが、家庭犬で暮らす上ではほぼ必要ないものだと思ってます。
鼓太郎のように序列に関心を示さないワンもいれば、小夏のように執着するワンもいるみたいです。私は知りませんが、序列に執着するワンを問題行動起こさないようにするプロのドッグトレーナーの躾技とかあるんでしょうね。
小夏の名誉のために言えば、序列に伴う問題行動はそれほど多くはありませんでした。年に一度くらい出たかなという程度です。基本的には仲良く平和な生活を送ることができました。なんとなく不穏な雰囲気を私や家内が察した時は、早めに間にはいるようにしたのも効果があったのかもしれません。
考えてみれば、人間も序列を作りたがるのでワンのことは言えません。生きるものの性なのか。
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我が家でも全く同じことが起きました。遠慮がちな娘わんこがママわんこの首筋に突然噛みつき、流血。ママはブルブル。それから完全に序列が代わりママわんこが引くようになりました。娘が亡くなるまで変わりませんでした。一緒に産まれた息子わんこ(他家に養子)は15歳4か月で今も元気です。
しばーばさん、今日は。
年齢差や体力差が逆転すると序列逆転も起きてしまうんですかね。
そもそも上に立ちたいという刷り込まれた本能のせいか。
仲良く一緒に暮らせるのが一番です。
息子わんこは、小夏と同じ年、同じ誕生月なんですね。2004年8月生まれ。