犬の肉球は、子犬時代のぽにょぽにょした何とも形容しがたい魅惑的な感触から、年齢を重ねるごとに、実生活を重ねるごとに、角質化して硬くなっていきます。肉球クリームなどのケアで、その柔らかさを長めに維持することもできるようですが、限界はあります。
さらに硬く角質化が進んでいくと、蹄(ひづめ)のように硬化し、硬化部分が伸びて成長してしまうことがあります。正式の名称かどうかわかりませんが、ネット上で探してみたところ肉球爪状角質化という症状だそうです。
重篤な疾病とかではありませんが、歩きにくいのと、蹄化した部分を何かにひっかけて肉球からはがれたりすると大事になります。何よりも飼い主さんが初めて目にすると、何事が起きたのかと動揺するに違いありません。
わが家の鼓太郎は、14才の半ば頃から、肉球の一部が蹄状に硬くなって伸びて行くようになりました。その時のことを、旧ブログの記事にしたのですが、意外と同じ症状のワンがいるみたいで、未だに旧ブログの記事に検索してアクセスいただいているようです。
犬の寿命が伸び、高齢化が進むにしたがって、同じような症状を呈するワンも増えそうだと素人的に思ってます。
ネット上でこの症状については、なかなかヒットしません。私も当時ずいぶん探しましたがなかなかヒットせずしないので、多少の参考、備忘としてこちらのブログにも取り上げてみました。
鼓太郎の場合 14才と4ヶ月頃
わが家の床はもともとフローリングで、絨毯は敷いていませんでした。しかし、鼓太郎が13才になった頃から、ものすごく歩きにくそうし始め、フローリングの上で滑るようになりました。そこでカーペットを敷きましたが、それでも踏ん張りが利かず、カーペットの上でも滑るようになりました。
ふと肉球をみると、床に接する部分が平らにツルツルになり、硬くなっています。その時は、老化が進んできたから仕方ないと諦めていました。
それからまた数か月。
散歩から帰って来て、手足をタオルで拭く時に、何かタオルに引っかかります。何だろうと、鼓太郎の手足、肉球をよく見ると肉球の一部分が硬い爪のように伸びています。
今まで、こんなものはなかった・・・。確かに、タオルに何かが引っかかる感触はありましたが、暴れん坊の鼓太郎が見せてくれなかったので、このような状態になっているとは分かりませんでした。
肉球から後ろに向かって長く爪状に伸びてるものが分かりますか?結構、長く伸びてます。反対側の手(肉球)にも同じようなものがあります。
「なんだろうねぇ?」
「これは、もはや肉球じゃないよな」
「うん、すごくカチカチ」
「引っ張っても取れない」
「爪切りで切ってみようか?」
「でも、肉球の一部だから血が出るかもしれない」
「どうしようか」
「ほっとく?」
「でも、ほっとくには大きすぎるよね」
「やっぱり一度病院で診てもらおう」
ということで、暴れる鼓太郎を病院へ。
診察台の上で暴れる鼓太郎に手を焼きながらも、先生は一目見て、「これは病気じゃありません。人間でも年取ると肘とか踵が固くなりますよね。あれと同じです。散歩でアスファルトの上を歩いていると自然に削れるんですが、年を取ってあまり歩かなくなったかな?何かに引っかけて剥がれることもあります。剥がれると、血も出るし、ものすごく痛いはずです」とのこと。
こうした症状で病院に来る仔は余りいないみたいで、他の先生や看護師さんを呼び集めて、見せながら説明していた。
なかなか処置してくれないので、「これ切っても良いものですか?」
「大丈夫ですよ。ただ爪と違って境目がわかりにくいので注意してください」
「爪切りみたいなもので切るんでしょうか?」
「かなり硬いのでもう少し強力なものがよいでしょう」
「というと?」
「カッターみたいなものですね」
「カッターですか?カッターじゃ切れないでしょう?」
「じゃあ、切っておきましょうか」
「お願いします」
先生が持ちだしてきたのは、ニッパー(ペンチの一種)でした。ニッパーとカッターは別物だぞと思いましたが、深く追求せず。やはりニッパーは威力が全然違う。
はじめに右手。先生、肉球を傷つけないように、慎重に少しずつ短く切っていきます。左手の方は、右手で感じがつかめたのか一気に、パチンと切ります。切られた部分が勢いよく床の上に飛んで行きました。
「これって一種の蹄みたいなものですか」
「そうです、そうです」
切り取った部分です。結構な大きさに成長していました。縞模様のように見えるのは、成長の軌跡でしょうか。年輪みたいなものかと思いました。
また生えてくる(成長する?)可能性が高いそうですが、先生がやるのを見ていて、「これくらいならできそう」と思い、それ以降は私がカットすることにしました。
案の定、半年もしないうちに、再び蹄が成長してきました。カットにチャレンジです。ニッパーを用意して、怪我をさせるのが恐いので、肉球から離れた端の方を少しづつカットします。かなり硬く、爪切りの時よりもはるかに力が要ります。それでもどうにかできました。
この時に肉球をよく観察すると、長く伸びてはいないものの、あちこちの肉球のへりの部分が硬く少し蹄化していたことがわかりました。ニッパーでカットするほどの長さではないので、これらには、爪切りの時に使うやすりを軽く当てておきます。
鼓太郎の肉球のあちこちに生えていた蹄ですが、全部手(前脚)の内側に向って蹄が伸びています。後ろ脚にはありません。この蹄は、老化に伴い手足の踏ん張りがきかなくなったせいで出来たと思ってます。
年を取り、足の踏ん張りが効かなくなると、前足でなんとか踏ん張ろうとします(犬は前足の方が頑健で、動くときは前足の依存度が高い)。しかし、その前脚も弱ってきているので、踏ん張っても左右に滑って広がってしまいます。この時に、前足の肉球も左右に引っ張られ、床やカーペットに擦れてしまいます。この引っ張られる部分が蹄化していくのだと思ってます。
あくまでも、わが家の鼓太郎場合ですが、どの肉球も内側(右手なら左側、左手なら右側)に蹄が伸びていました。
肉球爪状角質化は、病気ではありませんし、自宅でも処置できます。ただ、初めての時は、一度病院で診てもらって要領がわかってから自宅で処置することの方が安全です。
小夏は、鼓太郎に蹄が出来た時と同じ年齢になりましたが、未だに蹄の兆候はありません。衰えたとはいえ、14才当時の鼓太郎のように足元がおぼつかないということはないので、蹄はまだ先のことのようです。
我が家の柴犬15歳オスも蹄が生えております。獣医さんに相談したら麻酔をかけての切り取り手術になると言われ、は~?でした。
私もニッパー買って自分で切ってあげようかと思案中です。