柴犬の被毛を観察していると、背骨に沿って首の根元あたりから、天使の羽根の間を抜け、背中、尻尾まで、一直線に他と比べて硬めの毛が生えていることに気付きます。鬣(たてがみ)の名残りか?とも思いましたが、鬣は頭の根元から首の付け根あたりまでに生える毛を指すようなので、それとは違うようです。そもそも犬に鬣は古来からないのでは?と思いますが、なんだろう?
鼓太郎を迎えてブラッシングをしている時に、その鬣もどきの存在は気づいていましたが、このあたりは少し毛質が違うのだと思った程度でした。
小夏を迎えた時、やっぱり同じ場所に硬い毛が首の付け根から尻尾まで生えていて、ああ、柴犬共通なのだと納得していました。
しかし、驚いたのはその後です。
小夏が、子犬の時は圧倒的な力差もあり、それまで鼓太郎に歯向かうことなく逃げ回っていたのですが、成犬になり生来の気の強さもあってか、多少の戦闘モードになることがありました。初めての大げんかの時、止めに入りながら小夏を見ると、ん・・・?、なんか猫みたい・・・。少し背中を丸めて、フーッと威嚇のポーズ。
お前は猫かとか言いながら、落ち着かせようとした時、なんと、毛が逆立っている!
犬が毛を逆立てるということは知りませんでした。みなさん知ってましたか?見たことありますか?
少なくとも、鼓太郎が毛を逆立てたことはありませんでした。小夏が逆立てている毛をみると、背骨に沿って生えている例の硬い毛の部分です。普段は身体に沿って寝ている毛が、その部分だけ垂直に立ってます。小夏をなだめて落ち着かせないと駄目なのに、思わず見入って触れていたら、興奮している小夏に噛みつかれました・・・。
噛みつかれた痛さ以上に、犬でも毛を逆立てるという発見が驚きでした。
ネットで調べると、毛が逆立つのは毛根部分にある「立毛筋」という筋肉の働きによるそうです。猫でも犬でも、怒りや恐怖で興奮や緊張がマックスになると、自律神経の働きで筋肉が緊張状態、収縮状態になります。それにより、筋肉中にある「立毛筋」も緊張状態になることで毛が逆立つそうです。自律神経によるものなので意識的なコントロールはできません。過剰に振り切った感情に、意識外で体が反応した時だけ毛が逆立つわけです。自分では制御できない感情になった時、犬がそうした状態に陥ると怖いです。
犬の場合、猫ほど頻繁に毛を逆立てることはないと思います。猫の方がより感情、警戒心が強いのでしょう。わが家でも、小夏が毛を逆立てたのを一度しか記憶していません。鼓太郎に至っては、一度も毛を逆立て逆立てた姿を見ていません。
どうやら感情的で攻撃的で臆病と思っていた鼓太郎ですが、意外に自分の意識の範囲で対応できていたみたいです。意識の下の世界まで行くことがあったら、鼓太郎の場合、・・・、考えるだけで怖いです。逆に意識が働いていて、それで強烈に噛みつくこともあったのは、うーん、かなりの問題犬だったのかもしれません。
一応、鼓太郎の名誉のために言いますと、7歳ぐらいから次第にそうした攻撃的な行動は減っていき、穏やかな柴犬になっていました。単に老化かもしれませんが・・・。
犬と一緒に暮らしているみなさん、犬が毛を逆立てるところを見たことありますか?
余談:鬣犬という漢字があります。これは、「ハイエナ」。確かに、ハイエナには鬣がありますね。でも、ハイエナはネコ族だそうです。昔、初めてハイエナを見た人が、見た目で犬かと思って鬣犬という表記にしたのでしょうか。