柴犬と暮らしたことのある人なら誰でも知っていることですが、柴犬の毛はダブルコートです。毛質、長さのちがう毛の二層構造になっています。柔らかな綿毛状で毛足の短いアンダーコート(下毛)と、固い毛質で毛足の長いオーバーコート(上毛)の二層構造です。柴犬は、犬の中では短毛種に分類されますが、オーバーコートは生えている場所によっては、10cm近くになることもあります。
柴犬のふわふわもこもこの毛質、感触
柴犬好きにとっては、たまらない(少なくとも私はそうですが)のが柴犬の毛のふわふわもこもこ感。このふわふわもこもこ感を醸している正体は、アンダーコートの存在だと思っています。個体によって、毛の密度が違ったり、長さや柔らかさが違ったりで、多少の違いはありますが、総じて柴犬は、ふわふわもこもこ、真綿よりも柔らかな手触りの毛です。
わが家の鼓太郎と小夏ですが、小夏の方が柔らかな毛質のふわもこ犬です。散歩の時に道行く人によく撫でてもらいながら、「ふわふわだねー」と言われます。鼓太郎は言われたことがない・・・。それ以前に超ガウガウ犬の鼓太郎に首尾よく触れた勇者自体がほとんどいないのですが・・・。とは言え、鼓太郎も冬場でアンダーコートが増えると、かなりふわふわ感が出てきましたが、それでも小夏に比べると触った時の感触は堅め。このふわふわ感の違いが、雌雄の違いによるのか、個体の問題なのかはわかりません。
ただ後になって気づきましたが、ロングコートの長さと密度が鼓太郎と小夏では違っていました。このロングコートの違いがどうやらふわふわ感の違いになっていたようです。換毛期のブラッシング時に梳き取ったアンダーコートは、鼓太郎も小夏も殆ど違いはありませんでした。どちらも同じような柔らかな毛質です。
鼓太郎は、オーバーコートがしっかりとアンダーコートの上をカーバーするように生えていました。小夏は、オーバーコートがまばら?な感じで、アンダーコートが主体の被毛といった感じです。
そのせいか、雨の日に散歩すると、鼓太郎は殆ど毛に雨を吸い込むことなく柴ドリルをするときれいに水を弾き飛ばせましたが、小夏はしっかりと吸水。水を吸い込み、毛が小さな塊状になってあちこちに出来ます。柴ドリルも、あまり効果がありません。小夏の場合、雨がまばらなオーバーコートをすり抜けアンダーコートに染みこんでしまうようです。
また、小夏の被毛をよく観察すると、体の線からピンピンと毛が跳ねているように見えます。実は、これは全部オーバーコート。鼓太郎の被毛を眺めても、そうした飛び出したような毛は観察できませんでした。やはり小夏のオーバーコートの生え方、密度は薄いようで、アンダーコートを完全にカバーしきれていないようです。
そのせいか、小夏に触れると硬めのオーバーコートに手が当たらずアンダーコートに触れるせいで、鼓太郎よりずっとふわふわもこもこ感が強いのかもしれません。幼犬時代の柴犬は、みんなアンダーコート。その後、徐々にオーバーコートが増えて行くようです。小夏は、幼犬時から被毛の成長テンポが遅かったのでしょうか。
換毛期は、ふわもこ感が失われる
柴犬の換毛期は大変です。一大イベントです。どんだけー?と言う感じで、抜けるわ抜けるわです。はじめにアンダーコートが大量に抜け、それが落ち着き始めると今度はオーバーコートです。オーバーコートは比較の上で量が少ないです。換毛期の苦労の大部分はアンダーコート、ふわふわの毛です。
そのせいで、換毛期後、暫くの間はふわふわもこもこ感を楽しめなくなります。むしろバサバサした被毛になります。新しいアンダーコートが生えてくるまでの一ヶ月くらいの間は辛抱です。
換毛期でアンダーコートは殆ど抜け変わります。抜けて新しいアンダーコートが映えてきますが、小夏は前述のようにアンダーコート主体の被毛。そのせいか、換毛がきつい年は、少し裸状態になったこともあります。残った被毛越しにピンク色の肌が見えてしまっていました。女の子なのに裸は可哀想、夏の陽ざしで皮膚ガンにならないか心配。でも、一週間くらいで、すこしづつアンダーコートが増え始め、一ヶ月もすれば皮膚は見えなくなりました。杞憂でした。なかなか生えてこなければ、Tシャツを買って来て着せてあげようと思ってました。もっとも小夏は服を着せると気が狂ったように暴れるので、悩ましかったのですが、これも杞憂に終わりました。
今、小夏はシニア犬というか老犬域に入り、ホルモンバランスが少し崩れたせいか、換毛の度合いはあまり激しくなく、こういう大きな変化はなくなっています。
わが家では、この換毛期のブラッシングで、掃除機が連続して壊れたことがあります。今のダイソン君は、ずいぶん頑丈で長持ちしてますが・・・。グルーミングラバーも、櫛状になった山がすり減り、今までにどれだけ買い替えたことやら。スクラッチャー、スリッカーブラシ、ピンブラシは、購入して使用してみましたが、毛を引っ張る感じが痛そうに思い(実際には痛くないらしいです)、何度か使用してその後は使っていません。グルーミングラバーと仕上げ用のコームだけで今日に至ってます。
ちなみに鼓太郎も小夏もブラッシング自体は好きみたいです。ただ、長時間(20分越え)になると飽きてしまうようで、逃亡を図り、余計時間が掛かって自爆状態になってました。
柴犬と暮らす人は、毎年二回程度の換毛期にブラッシングしながら、みなさん「この毛は何かに使えないのか」と考えるみたいです。フェルト上にしてぬいぐるみ、クッションなど。でも実際には、毛に含まれる油分を抜く手間、一度の換毛期の量では何かに転用するには足りず数年がかりになることから、簡単なことではありません。でも頑張って、想いでの品としている方もたくさんいらっしゃいます。鼓太郎が空に昇った後、わが家でも残して置いて何かにしておけば良かったかなとも思ってます。が、実行には移していません。
毛割れはシャンプーサイン
被毛について、もうひとつだけ。毛割れという現象。シャンプー直後はさらさらで、櫛の通りも良いのですが、少し時間がたつと毛が小さく固まるようになることがあります。皮脂で毛に回りはじめるとこうした毛の塊が、ぽこぽこと見えるようになります。これを毛割れと言います。
あまり頻繁にシャンプーするのは嫌ですが、この毛割れが見え始めるとシャンプーが近いサインでした。わが家の場合は、大体一ヶ月弱程度です。
柴犬の魅力の被毛。何気なく眺めて、撫で触っていますが、よく観察するといろんなことが見えてきます。個体ごとの違いも楽しくもあります。手入れだけは、スキンシップも兼ねて十分にしてあげてください。
鼓太郎と小夏は、換毛期を除くと、それほど頻繁にブラッシングはしていませんでした。それでも、いろんな人に毛艶がいいと褒めてもらえました。単に室内犬のせいで汚れが少ないせいかと思ってましたが、マンションに住む方に、ある時いわれました。
「さぞやいいもん食ってんだろうな・・・」。
そうかな?まぁ、確かに私のご飯のオカズは、頻繁に鼓太郎と小夏のお腹にはいってたし、欲しがる好物の肉は比較的よく食べさせてはいたので、納得です。冬毛になると鼓太郎も小夏もアンダーコートの膨らみで体が二回りほど大きく見えるのですが、それに騙されていたら、ちょっと肥満気味になっていたのは反省です。