芸能人は歯が命というCMが以前はやりました(現在も続いてたら失礼)。芸能人に限らず、口から食物を得る生き物にとって歯は大切です。犬にとっては、唯一ともいえる武器でもあるので、とりわけ大切なものです。
記事内インデックス
わが家の場合
犬の歯の数
犬の口内事情
歯石ケア
歯周病から他の問題へ
わが家の鼓太郎は、最後、歯周病(歯槽膿漏)に苦しみました。子供の時から歯磨きをさせてくれない子でしたが、それでもその時はやっぱりもう少し強引に歯磨きすればよかったと後悔しました。
わが家の場合
わが家での歯周病対策は、正直、芳しいものではありませんでした。鼓太郎を迎えたときから、何度かチャレンジするも、物凄い抵抗に合い、その都度挫折していました。今ほど、デンタルケア用の用品もありませんでした。
乳歯の間は、軽くぬぐう程度でも出来ればよいか、永久歯に生え変わったらしっかり歯磨きしようと気楽に考えてました。これが甘かった。歯や口内に問題が起きたのではありませんが、永久歯に生え変わる頃には、頑として歯磨きを受け付けない犬になってしまいました・・・。
それでも、なんとか歯磨きしようとチャレンジするのですが、口に指や歯ブラシを突っ込まれるのが嫌で、歯をがっちりと食いしばり、私の手からなんとかすり抜けようと大暴れします。強引に歯磨きをしようとすると、咬まれまくりです。乳歯の時も痛かったですが、永久歯になり、体も大きく力も強くなってからは、ほぼ無理になってしまいました。
その後、ペットショップでデンタルケア用のドッグフード(なぜか何年か後に廃版商品になる)を鼓太郎も好んで食べたので、10年くらいはそのフードの効果に期待してケアはおざなりになっていました。大粒のフードで、そのフードを噛むことで歯垢や歯石が取れるといううたい文句でした。このフードを愛用していて、鼓太郎の口内環境は、特段、問題なく時は流れました。
しかし、鼓太郎の最晩年、最後の数か月。体力が落ちていく中、急に口内環境が悪化しました。歯茎がはれ上がり、物が上手く食べれなくなり、そして出血と膿。なぜか具合の悪いほうを下にして寝ることが多く、抱え上げて起こすと、そこにはいつも血と膿で濡れていました。口の中を見ると、それまでと違う歯の色に変わり、明らかに歯石でおおわれた歯になっています。
病院の先生に相談しても、すでに体力が心配な時期だったので、抗生物質で化膿を止めるのが精いっぱい。抗生物質も体力的に多様出来ずの悪循環。せめて、ご飯だけは流動食で食べさせ、その後、口の中をきれいにしてあげるのが、唯一出来ることになってしまいました。
後悔の記憶しかありません。そして、歯周病の怖さをその時になって初めて知りました。
犬の歯の数
柴犬に限らず犬すべて共通ですが、犬の歯は人間に比べエナメル質の成分が強くより硬くて丈夫です。確かに硬い骨でもばりばり食べられるのですから丈夫に決まってます。歯が丈夫ということに加え、顎の力が強いこともありますが、人間には決して真似できない芸当です。
また犬の歯の数は、人間とは異なります。
門歯
門歯(もんし)は、いわゆる前歯。犬歯と犬歯の間の歯です。小さい米粒みたいな歯にも見えますが、意外に鋭いようで、食べ物を噛み切る役割です。数は上下各6本、合計12本です。狭い範囲の割には歯の数は多い。
犬歯
犬歯(けんし)は、歯の中で最も長く、先端が鋭くなった、いわゆる牙です。食べ物や獲物を咥え込み、この歯で固定します。数は上下各2本、合計4本。名前からして、犬の存在をアピールしている歯です。
前臼歯
前臼歯(ぜんきゅうし)は、犬歯から奥に並ぶ歯で、食べ物を引き裂いたり固定したりする役割です。数は上下各8本、合計16本です。
後臼歯
後臼歯(こうきゅうし)は、人間の奥歯と同じように上面が臼状に平らになっていて、食べ物をすりつぶすのが役目です。数は上が4本、下が6本の合計10本です。
前後の臼歯は、一つ一つの歯の境目が私にはよくわかりませんでした。じっくり見ようとしても、鼓太郎も小夏も嫌がるし、もっとしつこくするとこの歯で咬み付かれます。臼歯といっても、人間と異なり先端はかなり鋭いので、咬まれると猛烈な痛みと傷を負います。
柴犬と暮らす人は、一度や二度は、咬まれてると思います。わが家は柴犬飼い世間水準より、咬まれた回数はきっと多い方だと思います・・・。大部分は鼓太郎です。
犬の口内事情
犬と人間では、口内環境にも違いがあります。特に、ケアにもかかわることですが、口の中のPh値の違いです。
人間の口の中は弱酸性ですが、犬はアルカリ性です。この違いが、虫歯や歯石、歯周病との関係に影響しています。
犬の場合、口の中がアルカリ性のため、虫歯菌が繁殖しにくくなっています。また唾液に糖の分解酵素が含まれていないので、虫歯菌の養分となる糖が残りにくくなっています。歯の形状も臼歯でも平らな部分が少なく、唾液の量も多いことから、虫歯菌の残留は少なくなります。さらに歯のエナメル質も人間より厚い。このため、人間に比べると犬は虫歯にはなりにくいと言えます。ただ、まったく虫歯にならないわけではありません。
虫歯になりにくい反面、人間よりも歯石がつきやすく、歯周病の危険性は高くなります。これは、口の中がアルカリ性であることが原因で、歯垢が石灰化して歯石になりやすいためです。アルカリ性だと石灰質は溶けてくれません。歯石は虫歯菌などの雑菌の住処になってしまいます。
このため、虫歯になりにくいとはいえ、歯周病にはむしろなりやすことから、口の中や歯に関するケアは欠かせないわけです。歯磨き、デンタルケア用のフードやオヤツなどが一般的でしょうか。
歯石ケア
歯の表面は本来つるつるです。犬の場合は、人間に比べエナメル質が厚く堅いため、余計つるつるであって然るべきです。しかし歯石が付着すると、表面がざらざらした感触に代わり、ひどくなると歯の色が黄色っぽく、灰色っぽく見えるようになります。
歯石になる前段階、歯垢の段階できれいにしてあげるのが一番ですが、歯石になってしまったら削り取るしかありません。これまでは、動物病院で全身麻酔で歯石除去だったため、飼い主さん的にはかなりの抵抗がありました。しかし、最近ではまだ数は少ないものの、麻酔をせずに歯石除去をしてくれる病院も増えてきています。
もちろん、病院で大人しく歯石除去の処置を受けれるワンに限るので、わが家の鼓太郎のような暴れん坊は無理です。
また、ニッパーのような形の歯石取りの器具も販売されています。素人が使いこなせるのかは不明ですし、ここでも大人しく処置を受けれるワンでないと難しいことは明らかです。
以前よりは、ずいぶんと歯石除去のハードルは下がりましたが、それでも負担は相応なところにあります。当たり前ですが、歯石になる前に、歯磨きなどで日頃からケアしておくのが大切です。
なお、全身麻酔を伴わない比較的簡易な歯石除去ですが、動物病院の先生に言わせると、歯周ポケット部分には対処できないので、効果については限定的だとのことです。やはり全身麻酔の上で丁寧に歯石除去がお勧めだそうです。でも、老犬になると麻酔のリスクが高いので、悩ましいですね。
歯周病から他の問題へ
人間も犬も同じですが、歯周病は口内だけでなく、体のあちこちに好ましくない影響を与えます。関係性のはっきりしないものもありますが、菌が体のあちこちに回っていろいろな悪さをします。
歯周病が悪化すると、歯の根元まで菌が広がりそこの骨を溶かし、顔に穴があくことがあります。「瘻管(ろうかん)」という状態です。犬は顔周りの骨が薄いので、事と次第によってはこうした重病にもなります。下あごの骨であれば、顎の骨折などにもつながり、食事も十分にできなくなります。
歯周病は、想像以上にたいへんな病気です。そのためにも、日々のチェックをケアは大切です。
なお、わが家の小夏は子宮蓄膿症の手術の時に歯石も一緒にとってもらいました。ある方から「歯石を取ると涙やけも消える」と教えていただいて、当時、涙やけもひどかったのですが、歯石除去後、暫くすると確かに涙やけもずいぶんときれいになりました。関係あるのかは、病院の先生に聞いてもはっきりしませんでした。
わが家の鼓太郎のように、体力が落ちてある日突然に歯周病が悪化することもあります。普段、じゃれ合って遊んでるときに、口臭はキツクなってないか、歯の表面はざらついていないか、ちょっと見てあげるだけでも予防につながります。