鼓太郎14才後半の頃から、散歩から帰ってくると前足のつま先が黒ずむようになりました。何故、こんな所が汚れたんだろう、水たまりにでも踏み込んだかと、タオルでごしごしときれいにします。でも、次の日も同じ場所が、やはり黒ずむ。さらに、その次の日も。流石に、何か汚れの原因が何かあると考え、次の散歩の時に注意して観察しました。思えば、これがナックリング症状の始まりだったようです。
◆ ナックリングとは
ナックルは、日本語で言えば「こぶし、げんこつ」です。手足の先が丸まってしまい、あたかもこぶしを握り締めたように見えることから、こう呼ばれます。
歩く時に、正常であれば手や足の裏から地面に着きますが、こぶし状になっているため、こぶしの先や手足の甲から地面につくようになってしまいます。
歩きにくいのは当然ですが、手足の甲やいろんな筋肉を痛めると言った悪循環が起きます。
◆ 原因
ナックリングが起きる原因は、個体ごとにさまざまです。
多い原因としては、脳を含む自律神経系の障害、椎間板ヘルニア、老化に伴う筋肉量低下などがあるようです。
◆ 治療、対処方法
現在の所、決定的な治療方法はないようです。緩和的なものや現状維持のためのマッサージ治療、針治療があるそうです。どこまで効くのかは、個体の状態次第で、根本的な解決にはならないようです。
緩和的な現状維持的な方法としては、ハーネスでのサポート、保護ブーツなどの利用になります。
◆ わが家(鼓太郎)の場合
初めは歩く路面の方に問題があるのではと思い、路面ばかり注視していました。しかし、特に問題はありませんでした。何よりも、一緒に同じ所を歩く小夏のつま先は汚れていません。
これは鼓太郎に問題があるのかと、既に加齢のせいでとぼとぼ歩きになっていた鼓太郎の歩き方や足元を注意深く観察します。
そこで気づいた事。
歩くときに足が地面からちゃんと上がらず、つま先が地面を少し擦るようになっています。4本の足がすべて同じように擦っている訳ではありませんでしたが、特に右側の手と足が擦りがち。
ナックリングなど知らなかった当時、その症状を説明する(推測した?)解説図を以前のブログで作ったので再掲します。下段の(今の僕)というのがその当時の鼓太郎の状態です。
素人推測ですが、おおむね症状の説明にはなっていると思ってます。
つま先を引きずった状態の歩き方は、人間でも年を取ると同じような状態になります。足がちゃんと上がっていないので、ちょっとした凹凸に引っかかり易くなり躓いて転びやすくなります。犬も人間も同じです。自覚のない筋肉の衰えは確実に進んでいます。
ちゃんと足を上げて歩けるようにしなければ。とは言え、すでに十分な高齢域になっていた鼓太郎の筋肉を鍛えなおすことは無理です。マッサージくらいしかありません。現状を温存していくしかないという選択です。ブーツは、嫌がる事が間違いなかったので選択せず。ハーネスもその時は思いつきませんでしたが、リードを短めに持ち、こけないように少し持ち上げながら散歩するようにしました。
しかし、それから半年もするとさらに状態は深刻化。この頃は、鼓太郎の最晩年期です。歩くこと自体が、かなりつらくなってました。それでも散歩命の鼓太郎で、変わらず散歩へは行きたがります。
この写真は、当時の鼓太郎の前足です。左側は普通ですが、右側が先っぽがみえないですよね。グーの状態。ドラえもんの手状態です。
この頃は、リードがたるまないように短く持ち、そして鼓太郎の体を私の足に寄りかからせながら歩いていました。私の足に半分体を乗せて、私の足で前に押し出してあげるような歩き方です。鼓太郎も辛かったでしょうが、支える私にも辛い歩き方なので、少し歩いてはカートに乗ってもらいます。それが、最後の散歩の日まで続きました。
それでも体調が良い時は、短い距離ですが、私に寄りかからず自分で歩くこともあったので、鼓太郎のナックリングは比較的軽度だったのかもしれません。
つま先が汚れることに気付いてから、ずっと気にしてサポートしましたが、老いを止めることはできませんでした。
歩き方がおかしいな、と思ったらナックリング症状が出ていないか疑ってみてください。まだ若い犬の場合には、神経的な麻痺の可能性もあるので、まずはお医者さんに相談。老犬の場合も、一応、お医者さんに相談の上で、悪化を進めない現状維持や痛みを緩和させるような処置(ブーツを履く、マッサージなど)を考えましょう。
ナックリングは、老化に伴い出やすくなる症状ですから、「歩き方がなんかおかしいな」と思ったら、疑ってください。何よりも健康的な老後を送れるように、若い時から十分な運動量を確保するのが大切だと思います。