誰でも、たとえ実際に読んだことはなくても、題名とおおよそのあらすじを知っている川端康成の「伊豆の踊子」。その舞台の一つが中伊豆の天城越え、旧天城トンネルです。伊豆にドライブに行くことは多かったのに、何故か、旧天城トンネルを訪れたことは長年ありませんでした。
鼓太郎を迎えて一年ほどした頃、若くて暴れん坊な鼓太郎を運動させるために毎週末あちこちに出かけていた時期。行き場所もだんだん減って来たので、思い切って、今まで機会のなかった旧天城トンネルへ向かうことにしました。きっと山道だから鼓太郎の運動にも、ちょうど良いだろうと決めつけてました。
わが家の鼓太郎も小夏も車のドライブ好きだったので、たとえ行った先が詰まらなくても、車に乗ってるだけでも楽しかったみたいです・・・。
旧道への分岐を発見、そこから徒歩で
週末の伊豆半島は渋滞を避けることは不可能です。現在では、道路の整備も進みましたが、それでも渋滞は覚悟です。当時は、今以上の混雑でした(と思ってます)。中伊豆のルートを南に下り、浄蓮の滝を越えたあたりから少し混雑が緩和されます。天城峠が迫り、道が険しくなるせいなのか?
それまでいつも見落としていた旧道への分岐を無事発見。分岐の駐車場に車を止め、徒歩で旧道へ分け入ります。結構な人が、歩いてます。みんな目的は同じ。純粋に天城越えの人はいないはず。みんな旧天城トンネルの観光です。
鼓太郎は、そこが何処なのかわからないものの、好きな山道なので嬉しそうに登っていきます。若いのでやたら元気。あちこち道を横にそれて茂みの中に入りたがるのに閉口します。
うっそうとした山の中なので、空気もヒンヤリ。道沿いを川が流れ、水生地や氷室跡などもあるので、場所によっては雨上がりでなくても湿ったところも。鼓太郎はお構いなしに、そうしたところにも分け入ります。柴犬の山に対する憧憬の本能なのか、何も考えてないのか?
こちらは、足元悪い場所は避けたいところですが、鼓太郎の運動が主目的、観光が二次的な目的なので、危険のない範囲で自由に行かせます。自由に行くのは良いのですが、手足をべちゃべちゃドロドロにして、私に飛びついてくるので、GパンにきれいなPAWをスタンプを残してくれました。
駐車場とトンネルの中間地点で、道沿いの川を渡る橋があります。記憶が定かではありませんが、写真にある踊り子橋というのが、たぶんここです。
そこから、また坂を15分ほど登り、ようやく旧天城トンネルです。明治時代にできたトンネルで、精緻な石組み造り。いま、同じような構造のトンネルを作ったらどれだけの費用がかかるのか?そもそも、こうした石組みで作れるのかと考えたります。
しかし、トンネルはトンネル。特に観光地仕様ではないので、とりあえず反対側まで歩いてみます。照明はありますが、まばらなので基本暗いしヒンヤリ湿っぽい。鼓太郎は暗いところも平気みたいで、どんどん先へ進みます。先に見える出口の光へ向かってまっしぐら。反対側の出口に出ても特になにもなし。
やはり、トンネルは通行するものであって、観光施設ではありません。
それでは詰まらないので、ここを踊り子たちも通ったのだと思いをはせらせますが、いかんせん伊豆の踊子は大昔に一度読んだきりで、よく覚えておらず、思いが広がりませんでした・・・。
なお、このトンネルは車での通行可だそうです。でも、昔のトンネルなので横幅が狭く、車同士のすれ違いはできないみたいです。反対側から車が来たらどうするんだろう・・・。
折り返して、再びトンネルを戻り、駐車場へもどります。私と家内は、なんとなく物足りませんでしたが、好きな山道をあちこち、うろうろした鼓太郎は満足げで、帰りの社内では爆睡していました。
旧天城トンネルへのアクセス
旧天城トンネルは、修善寺から下田へと延びる国道414号線上にあります。現在は新トンネルとなっていますが、そのトンネルの手前に旧トンネルへと続く旧道があります。初めて通ると、見落す可能性が高いと思います。私は、何度もこの道を通っていましたが、いつも見落としてました。旧道への分岐に駐車場がありますので、それを目指せば見落とさないかと思います。
東名沼津ICからだと、この分岐まで、平日ならば1時間半程度です。分岐の先も車で進むことができるようですが、混雑も予想されるので、駐車場に止めて歩いてトンネルまでがお勧めです。駐車場から徒歩で30分程度です。
天城峠を踊り子と私(学生さん)になった気分で歩くのも良いかもしれません。緑が多い未舗装道路なので、ワンも若くて元気なら喜んで歩きます。
今から20年近く前に鼓太郎と行ったのが、わが家の最初で最後の訪問になっています。旧天城トンネルへ立ち寄りはしないでしょうが(小夏が歩かない・・・)、久しぶりに伊豆方面へ車を走らせてみようかと当時の写真を眺めながら思います。