鼓太郎と暮らし始めた時、怖いもの苦手なものが意外に多いことに驚かされました。犬は色んなものを怖がるんだ、他の犬も同じなんだろうなと思っていました。しかし、その後、小夏を迎えた時、二匹が一斉に怖がり始めたら大変だろうなと少々心配もしていました。
ところが、小夏は怖いものなし!おそるべしは小夏か。
鼓太郎は、怖いものに遭遇すると、一瞬びくっと顔をこわばらせ、続いて小刻みな震えがやってきます。怖さの程度が軽いもので持続性がなければ、ここで留まります。怖さがもっと強く、継続すると、まず生あくびを繰り返します。それでも駄目だと、「あわおー」という奇妙な声を生あくびに混ぜてきます。同時に、はぁはぁと息遣いが荒くなります。それでも、ダメな時は、・・・、家の中の色んなものを破壊し始めます・・・。パニック状態に陥ります。
一番、被害が大きかったのがソファーです。鼓太郎が我が家にやってきた年に同じくやってきたソファーで、わが家のみんなが好きだったソファー。鼓太郎も小夏と一緒に上で昼寝するのが好きだったソファー。・・・でも、怖くてパニックになった鼓太郎にすると、破壊しているのが何だったのかわからなかったのかもしれません。
このソファーは、床と座面との間に隙間があるタイプ。パニックになった鼓太郎は、この隙間めがけて飛び込み、そしてソファーの下の布張り、木の骨組みをかじりまくります。それほど隙間の高さはないので、頭しか入りませんが、届く範囲は悲惨な状態に。骨組みは、もともとの骨の太さの三分の一くらいまでかじり取られています。今もわが家に残る鼓太郎の痕跡です。いつかこのソファーは崩れ落ちると思ってましたが、そこから粘り腰で今も生き残ってます。ちょっと痛々しいくらいに破壊されましたが。
鼓太郎が怖がったものは色々とありますが、最大の敵は雷でした。
これがたぶん一番駄目なもの。私や家内には何も聞こえないのですが、私たちの横で寝そべっていた鼓太郎が急に耳をピンと立て警戒モードに入ります。落ち着きなく、家の中をうろうろ。普段でも神経質そうな顔つきが、緊張により余計に険しくなります。暫くすると、雷の音が私たちにも聞こえ始めます。
流石は、犬の聴覚だと感心しますが、鼓太郎はそれどころではありません。生あくび、「あわおー」という奇妙な声と激しい息遣い。
そこに、ビシャッ、ドーンという落雷音。もう大騒ぎです。ソファーの下に潜り込み、破壊し始める鼓太郎を引きずり出しますが、今度は、壁や柱の破壊。仕方がないので首輪とリードをつけ、動きを封じますが、なんせ力が強い。普段でも力が強かった鼓太郎ですが、いわば火事場の馬鹿力状態で振り切ろうとします。震えっぱなしなんですけどね。
あまりにも可哀想なので、抱っこして落ち着かせようとしますが、抱っこすると私の体を上へ上へとよじ登ります。私の頭の上に昇ろうとします。登っても何もないのに、落ちてしまうよ・・・。何度か頭の上から引きずり下ろし、また昇るの繰り返しです。
思いっきり足を私の体にかけてよじ登るので、私の体には鼓太郎の爪痕が何条にも残ります。当然、出血です。
雷が過ぎ去るまで、鼓太郎も必死でしたが、こちらも必死な時間でした。雷が去った後、鼓太郎はぐったり、私と家内もぐったりです。虚脱した時間が長く流れていました。
小夏はと言えば、そんな鼓太郎のパニック状態が不思議でしょうがなかったようです。暴れる鼓太郎のところへ走ってきて、不思議そうな顔で見て、「ワン!」と大きな声で吠えます。「なにやってんの!しっかりしなさい!」とでも言ってたのでしょうか?
雷以外にも、爆竹・花火、強風・台風、耳掃除、病院・注射などなど、鼓太郎が怖かったものはたくさんあります。
あ、猫も怖かったみたいです。一度、家内の実家に行った時に、知らないところで実家の猫に猫パンチを食らったのか、玄関に逃げ込んで震えながら「ここイヤー、お家に帰る!」と籠っていました・・・。以来、道ですれ違う野良にも緊張しているのが分かりました。
みなさんの所のワンは、何が苦手ですか?怖がって暴れたりしませんか?
上手く落ち着かせる方法があれば良かったのですが、結局、上手くできませんでした。何か、気持ちを落ち着かせるアロマエッセンスみたいなものを使ってた時期もありますが、効果のほどはわかりませんでした。効いたような気かなかったような。
そんな、鼓太郎も10才を過ぎ老犬域に入り始めた頃から、だんだんと雷に反応しなくなっていました。慣れたのかな?とも思いましたが、たぶん耳が遠くなって以前のようには聞こえなくなっていたんだと思います。
見た目は強そうな鼓太郎でしたが、典型的なビビり。空の上に行ってビビりはなくなったかな。そもそも空の上には怖いものはない平和な場所なのかもと思ってます。