天空へ続く丘 ひたち海浜公園のネモフィラ

何時の事か、記憶は定かではありませんが、一枚の水色に染められた写真に目を奪われたことがありました。一目見た時、空の写真かと思いましたが、よく見ると確かに上半分は空、でも下半分は水色の花畑。空と花畑の境目がないかのように花畑が空に融け込んでいるかのような錯覚を覚えます。


ここは、何処なんだろう?日本じゃないのかな?そもそも、この水色の花は何だろう?何もわからず、それでも心魅かれた写真でした。

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なじみの公園でなじみのない花が
ネモフィラとは
ひたち海浜公園 天空に続く丘

その風景が、ひたち海浜公園の見晴らしの丘、花の名前がネモフィラだということを知ったのは、その後、暫くしてからでした。いつか一度は、鼓太郎と小夏を連れ立って訪れたい場所だと思いました。

なじみの公園でなじみのない花が

最近は行く機会がありませんが、鼓太郎、小夏とよく隣の県の公園へ行ってました。広くて林も多く、芝生もあり、運動量の多かった鼓太郎には一周くらいが最適な公園。小夏は途中でへばってました・・・。

ある時、そのなじみの公園へ行くと、入り口からすぐのところに何やら水色のまばらな絨毯が。少し斜面になった場所で、以前は芝が植えられていて、ワンも立ち入り可の気持ちの良い所だったのですが、何故かロープが張られてます。

なじみのない花です。

看板がかかっていて「ネモフィラ造成中につき、立ち入り禁止」と。ねもふぃら?私には初めて聞く花の名前でした。

たしかに造成中ということで、まだ、まばらな感じですが、一面に水色の花が広がれば、きっと素敵な斜面になるに違いない。今度来たとき?それとも来年になるかな?

とりあえず、造園中の柵の前で鼓太郎をつないで写真。小夏は、家内と先に行ってしまったので、ぽつねんと一匹で繋がれた鼓太郎。早く公園の中を歩き回りたいようで何とも様になりません。表情が暗い・・・。

水色と赤柴色がきれいです。あくまでも個人の嗜好なんでしょうが、赤柴色(茶色)はいろいろな自然のものと馴染むと思ってます。無機質な都会の風景の中では、少し浮いたような感じがしますが、自然物にはぴったりです。

相も変わらず表情はさえませんが、まぁ、この写真ならばいいか。

とは言え、鼓太郎を待たせすぎなので、可哀そう。この斜面が、もっときれいに繁茂する時を楽しみに先へ進みます。

その後、この斜面がネモフィラに覆いつくされることはありませんでした・・・。造成が上手くいかなかったのか、日照が悪かったのか、理由はわかりません。気付くと、ネモフィラはこの公園の違う場所に造成されていました。何故、場所を変えたのか?

ネモフィラとは

ネモフィラは昔から日本にあったのか?子供の頃には見た記憶がありません。少し調べてみると、北米原産の花です。日本に持ち込まれ、あちこちで栽培されるようになってから30年くらいなのでしょうか。

またネモフィラは、ベビーブルーアイズとも呼ばれるそうです。花の色と形状から来ているのでしょうが、こんな呼び名をつけるのは素敵です。また、森の妖精とも言う人もいるそうです。どちらもイメージにぴったりです。

ネモフィラ
ムラサキ科ネモフィラ属に分類される植物の総称。ネモフィラ属には18種があり、栽培されるのはブルーのメンジェシー種とその変種2種。そしてファイブスポットと呼ばれる大輪のマクラータ種。晩冬から春にかけて青い花をつける。

ネモフィラを初めて見た時に、「あれ?この花はよく見る花に似ている。でも、こんなに大きな花じゃないはずだから、品種改良か?」と思いました。冬から早春にかけて、散歩道でよく見かけるお気に入りの雑草の花、オオイヌノフグリです。

オオイヌノフグリ
オオバコ科クワガタソウ属の越年草。路傍や畑の畦道などに見られる雑草。冬から春にかけて淡い青紫色(水色)の花をつける。和名は、イヌノフグリに似てそれより大きいためにこの名前が付けられた。イヌノフグリの花は赤紫色。

こちらがオオイヌノフグリ。花が似てると思うのは私だけか?

ネモフィラとオオイヌノフグリは、私的には、よく似た植物に見えますが、植物学的には違う種類のようです。

ちなみに、フグリとはタマタマのことで、果実の形が雄犬のそれに似ていることからこの名前が付いたそうです。もう少し、気の利いた名前を付けてあげればよかったのに・・・。

ひたち海浜公園 天空に続く丘

はじめてひたち海浜公園のネモフィラの写真を見てから、気づけば何年も経過。東京の南西端に住む私の家からは、東京を横断してロングドライブになること、鼓太郎がロングドライブに耐えれなくなっていたことなどから、なかなか出かけることができずに月日ばかりが経っていました。そうこうするうちに、鼓太郎は空の上に移住し、とうとう行けず終いです。

鼓太郎がいなくなってから3年。TVでひたち海浜公園のネモフィラを目にします。忘れていた憧憬が再びよみがえります。連休にぶつかるけど、そのタイミングを外すと花が終わってしまう。小夏が年取ってロングドライブが気にはなるものの、まだどうにか大丈夫かもしれない。今が小夏にとっては最後のチャンスかもしれない。

意を決して、ひたち海浜公園を目指します。折しも10連休の真っただ中。道路の大渋滞と公園の大混雑が予想される中、無謀にも早朝に出発です。もちろん、ワン連れOKであることは確認しました。

ロングドライブなので、途中途中のサービスエリアで小夏を休ませます。車の中にずっといるとストレスもたまります。

高速道路の出口あたりから車が詰まり始め、結局、その渋滞が公園まで延々と。駐車場待ちも大変な混雑ぶり。幸い道路に空いてる道と駐車場の案内に気づいたので、一種の裏道状態でなんとか公園駐車場へ潜り込めました。それでも、家を出てから6時間以上が経過しています。

小夏はへばったかと心配しましたが、途中で何回か休憩を入れたので、意外に元気。知らないところに来ると、興奮するのかな?カートも持ってきてたので、途中でカートに乗せながら進もう。

園内に入っても、人人人です。たくさんの人がいると小夏は遊んでもらえると思ってさらに元気に笑顔です。でも、「可愛い」と言う声は頻繁にかかるものの、誰も手を出して遊んではくれませんでした。なんだろう?東京の片田舎の人と違って、茨木の人は奥ゆかしいのかなとか、おかしなことを考えながら、ネモフィラを目指して歩きつづけます。

だいぶ進んで、道の分岐に。たくさんの人が進む方がネモフィラだろうと想像して地図も見ずに、それに倣います。間違いないようで、曲がったとたんに道の先に水色の丘が。

正式名称は、「見晴らしの丘」、私流に言えば「天空へ続く丘」が見えます。もう少しです。

丘のふもとにたどり着き、見上げます。天気が良いので、ネモフィラの青が青空に融け込んでいき、まさにイメージ通りです。丘を上り詰めていくと、いつの間にか空に昇っていくのでは思うような風景。「一度は見たい景色」で常連になっているだけのことはあると思います。

ただ、この日は人出が多すぎて、丘を登る道が途切れなく人が動いいて人影で丘が隈取られてしまっているのが個人的には残念でした。人がもっと少ない時に来たかった・・・。

小夏も坂道を嫌うようになっていましたが、それでも元気に笑顔です。知らない場所、初めての場所に来ると、いつもと違う元気がもらえるのかもしれません。

小夏が元気なのは良いのですが、あまりにも人が多く他の人の通行の邪魔になるで、小夏をカートに乗せて私がカートを押しながら登ります。一苦労。小夏よりも私がへばってしまい、途中途中で休憩です。

時々、携帯鼓太郎にネモフィラの風景を見せてあげながら。

何んとか丘の頂上へ。見上げていたネモフィラの丘が、今度は足元に広がります。上からの風景も良いですが、やはり下から見上げる方が、空へネモフィラが続く様の方が好みです。

公園にいる間、年甲斐もなく終始元気で笑顔だった小夏ですが、流石に疲れ切ったようで帰りの車中では、イビキをかいて爆睡でした。

この時、小夏14才と9ケ月。元気に振る舞っていても、やはり老犬。無理をさせられないなと思いました。

機会があれば、混雑覚悟のうえでオンシーズンに一度は訪れてみてはいかがですか。きっと満足されると思います。

ネモフィラの丘のふもとには菜の花。首から携帯鼓太郎をぶら下げて小夏はご満悦でした。

なお、この見晴らしの丘は、季節によって植え替えが行われるそうで、秋にはコキア(ほうきの木)でも有名です。ホウキの木が真っ赤に紅葉した丘の風景も美しいそうですが、また渋滞にはまりながら6時間かけてやってくる元気はなさそうです。小夏にも私にも。


2020年コロナ禍の影響で、ひたち海浜公園はネモフィラの時期に閉鎖されていました。途中で花を刈り取ったのかは知りませんが、少なくとも今年その場所でネモフィラを見た人は関係者以外にはいないはず。暑さ寒さに弱いネモフィラなので、今度見れる機会は来年の春になります。

疲れたけど、楽しかったよ。何よりも鼓太郎が着たことないところに来れたのが嬉しい。

何が起きるかわからない世の中なので、思い切って見に行ったのが正解だったと思っています。

 

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