性格の形成と転機 ドッグランでの失敗

鼓太郎2001年1月頃 ドッグランの中を駆け回っているものの、近くに他のワンはいない・・・。

犬の性格は、満1才の頃にほぼ確立してくると言われてます。もちろん先天的な、遺伝的な要素は強く影響を与えますが、そこは血統的な部分を知りうるブリーダーさんでもない限り対応できないので、ここで取り上げるのは、一般の方が関われる後天的な性格形成です。

犬の性格形成期(発達段階)は、大きく3段階だそうです。時期や期間はあくまでも目安のようです。いろんな書物や言う人によっても、前後しています。

社会化期 (生後4週から13週)
恐怖期(生後8、9週、2回目:生後4ヶ月過ぎ)
反抗期(小型犬4~6ヶ月、大型犬9~12ヶ月頃)

この後に確立期、安定期という区分が有っても良いと思いますが、それは素人発想なので置いておきましょう。なお、社会化期の後半と恐怖期とは重なっています。そこまで明解に線引きはできないことだと思います。

社会化について簡単に説明すると、犬が他の犬や人間を始めとする様々な動物に対して接する際に、友好的な関係を築き交流ができる、つまり自分以外の外界、社会に慣れ親しんでいく過程です。その後の犬の性格に大きな影響を与える大切な時期と言えます。

犬と人間で、時間的なずれはありますが、人間でもこの幼少期の社会化が進む時期はその後に大きな影響を与える点では同じです。犬も人間も基本的に違いありません。

犬を迎え入れるタイミングはさまざまですが、子犬で迎え入れる時は、おおむね社会化期の途中です。母犬が行っていたその社会化期の育てを、迎え入れる人が引き継ぐことになります。これは、責任重大なことです。それにもかかわらず、この部分はあまり重視されてないのが現実かもしれません。子犬の可愛さと躾ばかりで、心や精神面のケアは、おざなりになってしまうことが多いかもしれません。

私も、鼓太郎小夏とを迎え入れた時、こんなことは知りもしなければ、特に何もしてきませんでした。漠然と、他の犬や人とも仲良くできる子にはなってほしいと考えていただけでした。

 

わが家の鼓太郎小夏も、ペットショップ経由の犬の多くがそうであるように、社会化期の初めに母犬や兄弟犬と離され、その時期をショップのゲージの中で一人で過ごしていたようです。ものすごく可哀想なことですが、その当時のペットショップ犬はほぼ同じです。今はお店によっては、ペットショップ内で他の子犬たちと一緒に遊べるスペースを設けているところも増え、店員さんが遊んであげるなど、こうした社会化期を補うようにしているようですが、その当時は、どこのショップでも、そのようなことはなかったと思います。

その割には、鼓太郎小夏も人懐っこく、私たちだけでなく知らない人たちにも愛想を振りまいてフレンドリーに接する子でした。鼓太郎の場合は、フレンドリーな接し方の中に甘噛みが含まれていたようで、その点は要注意でしたが、子犬の甘噛みと当時接したみなさんは大目に見てくれました。

同時に鼓太郎小夏も、遊んでくれそうな人を見抜くのが得意なようで、何か違うと思うと自分から近づくことはありませんでした。自分のツボにはまりそうな人を見つけると、すぐに人に駆け寄って一生懸命に自分なりの愛想の振りまき方をしてました。比較してみると、やっぱり鼓太郎は甘え方がへたくそで、甘噛みが強く出たり、相手が女性の場合、それも何故か若い女性にばかり、スカートの中に頭突っ込むといった、困った問題行動が・・・。リードを持つ私はただひたすら謝ってました。小夏はすぐにお腹を見せて、犬なのにごろにゃん状態で、お腹を撫でてもらい悦に入ってました。

それぞれ違いはありますが、いずれも人間大好きのアピールなので、少なくとも人間に対してはあまり問題ないかと思ってました。犬嫌いの人は、見抜いているのか、そもそも近づかない。相手の表情を読むのか、本能的にわかるのでしょうか。

でも、犬に対しては、ちょっと警戒心が強くて、お尻の匂いを嗅がれるのを嫌がり、緊張モード。長いこと匂いを嗅がれると、小さく唸り声が出てました。人間に対しては大丈夫そうだけど、犬に対してはもう少し友好的になってもらわないと思っていました。


とは言え、近所に頻繁に接する犬もいないので、さてどうしようかと考え、犬が多く集まる場所ということで、ドッグランデビューを計画します。生後半年を過ぎた日に、どきどきしながらも、少し遠くの大きなドッグランへ鼓太郎を連れて行きます。いざリードを外してフリーに。既に、入り口のところで何匹かの犬が尻尾ふりふりしながら、鼓太郎を歓迎してくれ、鼓太郎も、応えるように尻尾をぱたぱたしながら喜んでいたようなので大丈夫と思いフリーに。その後も、他の犬と一緒にドッグランの中を一緒に駆け回ります。鼓太郎のドッグランデビューは気が抜けるほど上手くいきました。

それに味を占めた私は、月一度くらいのペースで鼓太郎をドッグランに連れて行きます。時々、鼓太郎が他の犬から離れ一匹だけポツンとしていることが多いような気もしましたが、他の柴犬も同じような感じだったので、まぁ、柴犬はこんなものかと思います。その後も、ドッグランで、なんかぽつんと浮いてる柴犬をよく見かけるのは気のせいじゃないようです。柴犬全体的にこの傾向ありか?それと、鼓太郎は他の犬とも遊ぶんですが、犬以上に他の飼い主さんの所に行って、遊んでーアピールが強いように感じました。どうも、人間の方が好き?

鼓太郎2001年1月頃 ドッグランの丘の斜面で、あたりを窺う。

そんなドッグラン通いを繰り返して、4回目か5回目の時です。何が気に入らなかったのか、一頭のゴールデンレトリバーと鼓太郎はケンカをしてしまいます。どちらが仕掛けたのかは見ていませんでしたが、すぐに先方の飼い主さんと私で引き離したので、大事にはなってませんが、ちょっと興奮状態が収まらなかったので、すぐにドッグランを後に。それまでにも、何度か会っていたゴールデンレトリバーだったので、訳がわかりません。

これを境に鼓太郎の性格が変化したように感じます。私たちに対しては、殆ど変わらないのですが、よその人や犬に対して、以前の様なフレンドリーなふるまいをしなくなり、警戒心たっぷりに、少し攻撃的な威嚇的な面が見え始めてしまいました。

今考えると、この時期は社会化期、恐怖期、反抗期がごちゃまぜ状態になる時期でもあったせいでしょうか、そうした性癖はなかなか改善しませんでした。体もどんどん大きくなり力も強くなってきたので、こちらもよその犬や人を少し避けるようにしました。結果的に、そうした回避的なことはあまり良い方向に向かわなかったと今になって思います。もう少し年齢が行くと、攻撃的な側面は平常時には見られなくなりましたが、よその犬にはほぼ関心を示さない、関わることを嫌がるようになってました。ただ、相手が必要以上に、接近すると暫く我慢しますが、限界になるとガウっていました。

鼓太郎で失敗したので、小夏を迎え入れた時は、もう少し早いタイミングで他の犬に接するようにさせようと、また小夏をドッグランへ連れて行くことにしました。鼓太郎は、一番元気な若犬時代で万が一ケンカになると大事なのでドッグランへ入れず。外で鼓太郎が見守る中、小夏は嬉しそうに入っていきます。生後5ヶ月頃です。子犬の面持ちは残しているものの体は大きくなってたので大丈夫と思っていましたが、その時は運が悪かった。犬の数が何時もより多く、中でもドッグランの中央にボルゾイが4頭。なんかドッグランの主みたい見えました。小夏が入っていくと、いっせいに小夏の周りに寄ってきます。はじめ、嬉しそうだった小夏ですが、大人しくお尻の匂いを嗅がれていたものの、あまりにも長く、そして自分の何倍もある大きなボルゾイ達に取り囲まれて怖くなったのか、それまで聞いたこともない「キャーン」という大きな悲鳴を。一緒に入っていた家内が小夏を抱えあげ、急いで外へ。どこか噛まれたということはありません。ものすごく大きな犬達に囲まれて、壁際まで追い詰められて怖かったようです。

そんなことがありましたが、小夏の人間に対するフレンドリーさは、今日まで変わりません。が、犬に対しては、その日を境に警戒心と攻撃性が出るようになりました。

よかれと思い、早い時期にドッグランへ連れて行きましたが、鼓太郎に続いて小夏でも失敗してしまいました。これは、鼓太郎にも小夏にも悪いことをしてしまいました。トラウマになってしまったのかとも思い、今でも悔やまれます。

 

幼少期の躾は、犬とあなただけの関係です。閉じた世界だけでは、犬も人間も長く暮らしていけることはできません。開かれた世界で楽しく暮らせるように、子供の時に外との交わり方、社会化は、性格形成にもその後の犬生にも大切です。よその犬、人間に触れあう機会を大切に。

ただ、ドッグランデビューは準備してから望んでください・・・。人間の子供の公園デビューと同じです。

 


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