(この記事は、鼓太郎と小夏の陽だまり 2014.9.24の記事を転載リライトしたものです。)
こんにちは、小夏です。昨日の続きです。あたしの運命やいかに。
ホームセンターを後にしたおとうさんとおかあさんは悩んでいました。何たって、あたしが、一生懸命、後ろ髪を引っ張っていたからね。
帰りの車の中。
「あの子、すぐ決まるかな?」
「可愛いかったね」
「うちじゃ無理かな」
「できればそうしたいけど」
「でも悩ましいよね」。
それまで、ペットショップで他の柴犬を見ても、こういうレベルの会話にならなかったらしい。今回はそれだけあたしが魅力的だったせいか、二人とも心がだいぶ揺れてたみたい。
「二匹飼うのは無理かなぁ、やっぱり」、とおとうさん。
「う~ん、鼓太郎が受け入れてくれるかしら。少しいじめるくらいだったらまだしも、今の鼓太郎だと噛み殺しちゃうかもしれないよ」。
この頃の鼓太郎は、一番やんちゃな年ごろで、かなり凶暴で、おとうさんもおかあさんも噛まれることが度々あったらしい。
凶暴という言い方は、鼓太郎に申し訳ないけど、一種のパニック症候群みたいで、例えば病院へ行って注射するなど嫌なことに直面すると、もう頭の中が真っ白になって、唯一の武器のお口で徹底抗戦してました。
一種の自己防衛本能が前面に出ていたようです。
でもその結果、おとうさんやおかあさんには噛み傷が。
「普段は良い子なんだけどねぇ~」と、怒りながら甘やかしていた(?)みたい。
でも他の犬にはパニック症候群ではなく、警戒がマックスになるようで、かなり交戦モードだったらしい。
「たとえ、鼓太郎OKでも、2柴でマンション内の移動できるかな。二匹を抱えてマンション内の移動は無理だよ」とおかあさん。
この頃は、鼓太郎は抱っこされてマンション内を移動していたんですが、エレベーターの中で他の人にたまに唸ったり、ましてや他の犬が同じエレベータの箱にのると大騒ぎになるので、いつも口をつかまれていました。おかあさんが口をつかんでも、やすやすと振り払い反撃。当時まだ若くて力の強かったおとうさんでも、かなり大変で、できるだけ他の人と一緒のエレベータにならないようにしてたそうです。
「ころころ引っ張れるキャリーバック型のケージあるじゃないか、あれを買おう」。
「柴犬が入れるようなサイズあるの?」。
「わからん…」。
「まぁ。暫くは外に散歩に行けないし、子犬だからそんなに重くもないけど」。「でもあっと言う間に成犬になって10Kgだよ」。
「柴犬の雌は、標準体重8Kgくらいだって」。
「大差ないじゃない。僕は大丈夫だけど、併せて20Kg持てる?」。
「う~ん、厳しい。無理だよね」。
「じゃあ、この話はなしにする?」。
「そうなんだけど、でもねぇー」。と会話が堂々巡りしています。
延々と堂々巡りの末に、おとうさんとおかあさんが出した結論。
1. 一週間後の秋分の日にもう一度行って、あたしがまだ売れ残っていたら、直に会わせてもらう。(売れ残りと言うのは、あたしに失礼なような気もするけど・・・)
2. 鼓太郎にあたしを近づけても鼓太郎が攻撃しないか、大丈夫か確認。大丈夫そうだったら、迎え入れる。
懸案事項のマンション内の移動の件は、お散歩デビューまでの間におとうさんが何か対策を考えるということで一応の決着。
おとうさんの「何か考える」っていうの当てにならない。実は何も考えないことなのを、おかあさん十分分かっているはずなのに、この時は問題にしなかったらしい。
二人とも、それぞれ心に決めてしまったんですね。できれば、あたしを迎え入れたいと。
そして、いよいよ「運命の日」、2004年の秋分の日が来ました。