リーダーシップ行動理論2 PM理論、マネジリアルグリッド、四次元モデル

3つのリーダーシップ研究に続く3つの理論

前回に引き続き、リーダーシップ行動理論について個別に提示されたものをご説明します。比較的短期間の間に、いろいろな理論が展開され、内容が発展改善されながら、理論研究のゴールとも言える理論間の類似性も見えてきます。

ページ内INDEX
1. PM理論
2. マネジリアルグリッド
3. 四次元モデル
4. 行動理論の共通性
5. まとめ

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1. PM理論

リーダーシップ理論の多くは米国を中心とする海外発ですが、PM理論は日本の社会心理学者、三隅二不二が1966年に提唱しました。日本国内だけでなく、海外でも広く知られた理論となっています。

リーダーシップ行動理論の研究の流れを受け、PM理論はリーダーシップを2つの機能で捉えマトリックス化したものです。一つが課題達成機能で、もう一つが集団維持機能です。

課題達成機能(P) performance
組織の方向付けやゴール設定、計画立案からメンバーへの指示などによりゴールを実現、達成する機能
集団維持機能(M) maintenance
組織のメンバー間の人間関係を良好に保ち、集団としてのまとまりを維持する機能

その上で2つの機能の高低により、4つのリーダーシップタイプ(PM型、Pm型、pM型、pm型)を示しました。タイプ表示のアルファベットで、高い方を大文字、低い方を小文字になっています。

PM型(PもMも高い)
ゴール達成も集団をまとめることも高く、理想的なリーダーシップタイプ。
Pm型(Pが高く、Mが低い)
ゴール達成は高いが、集団をまとめるのが低い。仕事は進むが、求心力の弱いリーダーシップ。
pM型(Pが低く、Mが高い)
ゴール達成が低いが、集団はまとめる。メンバーからの人望や組織の雰囲気は和やかだが、仕事面の結果に結びつきにくいリーダーシップタイプ。
pm型(PもMも低い)
ゴール達成も、集団をまとめることにも弱い。

リーダーや組織の現状から、不足部分を強化しながら理想のタイプPM型への開発アプローチが示唆されます。

2. マネジリアルグリッド

マネジリアルグリッドは、1964年にBlakeMoutonによって提唱されたリーダーシップ行動理論の一つです。

リーダーシップ行動を人間への関心生産への関心の2次元に注目し、各次元を関心の度合いで9段階に分け、その組み合わせで出来る81のグリッド(格子)をマネジメントグリッドと呼びました。

実際には、典型的な5つのリーダーシップ類型9-9型、9-1型、5-5型、1-9型、1-1型を取り上げていますが、リーダーや組織の現状に照らして、細かくその度合いを考察することができます。

9-9型チームマネジメント型 生産にも人間にもバランス良く、高い関心を示し、組織やチーム運営の理想型のリーダー
9-1型仕事中心型 何はさておき生産最大化への関心が非常に高く、メンバーへの関心が希薄なリーダー
5-5型常識型 生産にも人間にもバランスは良いものの、標準的な水準にとどまり、どちらにおいても常識的範囲の結果にとどまるリーダー
1-9型人間中心型 何はさておきメンバーへの関心が非常に高く、そのためには生産の停滞もやむなしとするリーダー
1-1型無関心型 生産にも人間にも関心を示さない

マネジリアルグリッドを見ていると、個人的には、かって日本企業が極端な成果主義人事へのシフトを図った際の姿が見えます。リーダーと人事制度の違いはもちろんありますが、1-9型から9-1型への一気の転換です。一般社員以上に現場のリーダーだった方々は、苦労したに違いありません。

3. 四次元モデル

リーダーシップ行動理論の殆どは、二次元で語られてきました。しかし、二次元モデルではリーダーシップ機能の全体像を十分に説明できないとして、1966年にBowersSeashoreは、生命保険会社での実証研究を通じて、四次元モデルを提唱しました。

四つの次元は、サポート(支持)相互作用の促進ゴール重視作業の円滑化です。これら、4つの次元は、組織の有効性を測る上での予測因子としても使用することができます。

サポート(支持)support
メンバー個人の価値観や自己価値、あるいはメンバー個人の目的を支えるように行動すること。
相互作用の促進 interaction facilitation
メンバー同士が十分なコミュニケーションをとり合い、信頼・親密な関係を築けるようにする行動。
ゴール重視 goal emphasis
チームや組織の目標を達成するために、メンバーを動機づけ、ゴールへ導いていく行動。
仕事の円滑化 work facilitation
チームや組織の目標達成のために、効率的な計画、資源配分、運営管理などを通じて支援し、仕事をスムーズにさせる行動。

なお、サポート(支持)相互作用の促進がミシガン研究における従業員指向であり、ゴール重視作業の円滑化が生産性指向に該当します。

4. 行動理論の共通性

前回に引き続き、リーダーシップ行動理論を見てきました。いずれの理論研究も優れた有用なものであることに違いはありませんが、非常に似たコンセプトが底流にあることも否めないように思ってます。

伝統的な二次元のアプローチ、仕事と人間をキーに整理してみました。

各理論の細部の違いは尊重しますが、次元については、いずれも仕事と人間の二つに集約されます。

5. まとめ

前回に引き続きリーダーシップ行動理論について、その中のPM理論マネジリアルグリッド四次元モデルをご紹介しました。

発表年代をみるといずれも1960年代と比較的短時間の間にさまざまな理論研究が行われたことがわかります。そのせいもあってか、互いに影響を受け合ったせいか内容的にも似通って見える点もあります。リーダーシップ行動を捉える上でかなりの煮詰まり感、限界に達してきたのかなとも感じています。

そうした一種の閉塞感からの脱出、リーダーシップ理論のさらなる展開は、状況適合の考え方の登場を待つことになります。なお、行動理論の理論研究の過程においても状況に対する視点がなかったわけではありません。この点は補足しておきます。

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